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ゴースト・イン・ザ・シェルのkouのレビュー・感想・評価

3.0
《等身大な結論へ》
日本アニメーションでも歴史に残っている傑作ゴースト・イン・ザ・シェルをハリウッドが遂に映画化した。昔からその噂は立っていたものの、「ついに映画化できたんだな」と、まず思った。いろいろな不安がありながらもやっぱり見に行ってしまうから、やはり皆攻殻機動隊好きなんだなと思う。

押井守版ゴースト・イン・ザ・シェルを始めて観たときの衝撃は凄かった。新しい形のSFを見せられたような感覚があり、デザインもストーリーも含め斬新だった。それを何年も前に実写映画で描いたのはブレードランナーだった。SFの最高傑作で、その素晴らしさは言うまでもない。そして2017年、CG、映像の技術が進歩して今作はどのような作品になっているのか楽しみにして見に行った。

印象としては複雑で情報量の多かったアニメ作品をわかりやすい形に、シンプルにした実写作品という感じ。確かに「人形遣い事件」を映像化していて、アイデンティティや自分は本当に存在しているのかという問にも触れられているが、行きつく先はとてもわかりやすく、家族や恋愛という現在の等身大な所へ落ち着いていた。

キャラクターの合ってる合っていないは、もはや実写の時点でもう別物としてみていたこともあり気にはならなかった。ただSFの世界観としてはやはり物足りなかった。ブレードランナーの衝撃は超えられないなと思った。

攻殻機動隊、ゴースト・イン・ザ・シェルという作品の取っ掛かりとして見るのにも良いかもしれないと思う。しかしやはり、あの情報量、混沌、殺伐とした世界観というのは薄れているかなという印象だった。
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