ウィンナー・ワルツ／ウィーンからのワルツのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

今現在も数多く作られている音楽映画、伝記映画の原型というか基本的なフォーマットがこの時点でほとんど完成しているということに驚かされる。
父親との確執、恋人と伯爵夫人との間の三角関係を交えつつ歴史的名曲が生まれるまでの過程を描きクライマックスのライブ演奏のシーンにつながるという構成はまさに王道的音楽映画だといえる。ただ一つ現在よく見るタイプの伝記映画との大きな違いは主人公であるヨハン・シュトラウス2世を全く魅力的には描いていない点だろう。伝記映画でその主人公を良くも悪くも魅力的に描かないというのは現代の感覚では結構難しいと思うのだがこの映画は割と俯瞰的に主人公のキャラクター性に寄りかかってない作劇になっている。