素晴らしいとしか言いようがない。
よくぞ撮ったな……と嘆息するばかりです。そしてこの、胸に穴の開くような圧倒的な切なさね。感情を持て余すなんてこと、ついぞございませんからね、見終えて身悶えするばかり。
この人の映画って、不思議と言葉を惹起しないんですよね。そのくせ巻き戻しては、あるシーンを繰り返し再生して、高揚したりしみじみと浸ったりしている。『燃ゆる女の肖像』しかり、『秘密の森の、その向こう』しかり。
言葉の力を信頼する者には、得るところがほとんどないのです。映像で完璧に物語が構築されているから。映像のコノテーションの豊穣さにしても、一々言葉で追うのは野暮というもので。
喜びも、悲しみも、屈辱も、あらゆる表現が映像と音楽だけで臨界点に達しているとでも言いましょうか。言葉で感想したり説明したりすることが、もう余計と感じられるのです。そんな映画、いまだかつてあっただろうか？
『シン仮面ライダー』をちょっと好奇心で冒頭覗いてみましたけどね、もうのっけから言葉だらけなんですよ、映像そのものが。これは映画じゃない、という定義は、やはりあると思いますね。
シアマの作品を無料で見られるアマプラは、マジ神。
