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快楽の漸進的横滑りのblacknessfallのレビュー・感想・評価

快楽の漸進的横滑り(1974年製作の映画)
3.1
ミッション系女学院生のアリスはルームメイト殺害の容疑で逮捕された。被害者は胸をハサミで刺され、体には血で描いた聖母が。アリスは殺害を否認、犯人は別人だと供述する。アリスは本当に犯人ではないのか?

一応ミステリーのアウトラインはあるものの、これは観念的なアートフィルムだよ。
エロティックで冒涜的で耽美なシーンが散文的に映し出される。シスターが女学院とキスしたり、聖職台でSM的な絡みをしたり、一応、謎解きに沿った形で挿入されてはいるけど謎解きとの関係性はほぼない。語られるセリフも観念的でエロティックだったりする。意味深にも思えるが抽象的で掴み所のない会話がほとんど。

監督がロブ=グリエだから難解だとは思ってたけど、ここまで感覚的な映画だとは思わなかった。
小説家としても映画監督としても巨匠だから好き勝手にやれたのかな?
美人女優を使って、俺の中のエロスとタナトスと背徳を撮りましたって感じ。本当にそれしかない笑

拗らせサブカル期をとっくに卒業した自分には普通に退屈なシロモノでしかなかった。若い時に見たらもう少し楽しめたかも知れないし、こんな尖った表現が理解できるおれもまた尖ってるぜ😏という痛い自意識が満たされたかも知れない笑

まあ、でも、とりあえず、美人のおっぱいがたくさん見れたし、グリエ流の冒涜、エロス、背徳のイメージ映像は所々とってもかっこよかったので観てよかった。自分の感性に響くとこがあった。何か見慣れたような安心感もあり。
なんか絵面が自分が好きなオカルト系のドゥームメタルバンドのアルバムジャケやTシャツに似てるんだよな。実際、この手バンドは昔の宗教色の強いホラー映画のシーンをアートワークに使うことが多いから、既に何かのジャケとかで見てるのかも知れない笑
ドゥームメタルってメタルのジャンルではあるけど実際、昔のサイケやプログレ、ハードロックの影響が大きく音もメタリックじゃないものが多いし、ハードコア上りの人がけっこういるし、ネーミングと実像のギャップがあるよな。

それと、オカルト系のドゥームと言えばそれはもう、Electric Wizardが代名詞的存在だけど、最近、少し健全でグルーヴィーなストーナーロック寄りになってオカルト色が薄くなったと思いませんか?
そこが不満なドゥーム好きなメタルヘッズにはスウェーデンのSalem's potとアルゼンチンのMephistofelesがオススメですよ!
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