ユースケ

スター・ウォーズ/最後のジェダイのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ファースト・オーダーに追い詰められたレジスタンスの前にさっそうと現れ、ここは俺に任せて先に行け!と漢気を見せるルーク・スカイウォーカー。AT-M6の集中砲火を無傷で受け流し、カイロ・レンのライトセイバーを華麗にかわし、ルーク・スカイウォーカー史上最高の活躍を披露したかと思っていたら、その正体は念能力で作り出した分身(ダブル)で本体は隠れ家の島で尊師のように空中浮遊しながら高みの見物。
【フォースのテーマ】をバックに二つの夕陽を見て黄昏、オビ=ワン・ケノービのように勝手に解脱、【スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望】の名シーンをひとりで再現し、レイ、フィン、ポー・ダメロンなど、【スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒】から登場した新キャラクターの活躍を前座に変え、美味しいところは全て持っていく。これがジェダイのやり方だ。

【スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒】が【スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望】のプロットをなぞったように、【スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ】は【スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲】のプロットをなぞっているものの、隙あらば笑いを取りに来る欲しがりなキャラクターたちと期待を裏切り続ける展開によって飽きずに鑑賞できました。

とにかく、無意味とか、ダサいとか、言われ続けたマスクを叩き壊し、大した理由もなく暗黒面に落ちるカイロ・レンの中二病っぷりは相変わらず絶品。レイに鍛え上げた筋肉を見せようとしてフォースチャットで晒すハイウエストな半裸姿や言いたかった命令をハックス将軍に横取りされてイライラする姿には萌え死に確定。

更に、【魁!!男塾】の江田島平八の如く生身で宇宙遊泳するレイア姫、ハイパードライブで特攻をかけるホルド提督、タラ=サイレンから搾乳したとれたてのグリーン・ミルクをがぶ飲みするルーク・スカイウォーカーなど、みどころ盛り沢山。

しかし、レイの修行パート、レジスタンスの逃走パート、ファースト・オーダーの追跡妨害パートの三つのパートが行ったり来たりする構成はイマイチだし(結果的にファースト・オーダーの追跡妨害パートは丸々不要)、特撮の美学であるマスク割れをかましたキャプテン・ファズマもピコ太郎みたいなスノークもアッサリくたばりすぎだし、レイとカイロ・レンとフィンの三角関係は天童よしみ似のローズの登場でぶち壊しだし、ベニチオ・デル・トロはただの裏切り者だし、海に沈んだXウイング・ファイターは持ち上げないし、ツッコミどころも盛り沢山。カジノの星まで登場させておいてランド・カルリジアンを登場させないなんて正気ですか?

なんだかんだ文句が多くなってしまいましたが、ジェダイの呪縛から解放されたルークさん。両親をめぐる衝撃の告白はなかったけれど、血統(ミディ=クロリアン)の呪縛からフォースを解放してくれたレイちゃん。そして、【スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望】で採用されなかったレイア姫の乗ったブロッケード・ランナーがスター・デストロイヤーに追われる宇宙を見上げて反乱軍に憧れるルークの登場シーンにオマージュを捧げたフォースの存在に気付いていない名もなき少年がミレニアム・ファルコン号がハイパージャンプする宇宙を見上げてレジスタンスに憧れるシーンで物語を締めくくり、【スター・ウォーズ】を選ばし者の物語から私たちの物語に取り戻してくれたライアン・ジョーンズ監督。お疲れ様でした。
【スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒】で宿題をぶん投げたJ・J・エイブラムス監督がちゃんと宿題を提出できるか楽しみです。

フォースと共に在らんことを。