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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けの3104のレビュー・感想・評価

3.7
はるか昔、ルーカスが9部作の構想を表明した時からスター・ウォーズシリーズの苦闘は始まった。一時はその構想は果たされぬと思われたが、周知の通り〜紆余曲折の末〜プリクエル、シークエルと作られ続け、ここに「9つめ」が公開させるに至った。

終わり/着地点が決まっていてそれに向けて作られた『ローグ・ワン』と違い、こちらの「終わり」はそこまでの道のりもそして“終わり自体”も、きちんと設計していなくてはいけない・・はずなのだがどうした事かここを固めぬまま、背骨が抜けたままシークエルを作り出した。巷間取り沙汰されるように「戦犯」はキャスリーン・ケネディなのか。 今さら言ってもせんない事だがその罪は重い。

そのうえ監督交代で急遽JJが再登板。一度ベンチに下がった彼を再び投げさせるといういびつな構図に。この辺りから「敗戦処理」的な空気が漂っていく。


結果はご覧のとおり。おそらく時間もなかったのであろう。「終わらせる」というミッションをとにかく完遂させる事に終始手一杯の142分だったように思う。そのミッションだけはとても忠実に果たしたのではないか。

とにかくJJ、お疲れ様。今作を、シークエル3部作を、そしてSWサーガを終わらせる大役を担ってくれて。いや担わされてさぞや大変だったろう。不満足は多かろうが、その中で古くからのファンの機嫌をうかがったり、前作の設定も活かしたりととにかく出来る範囲で出来る限りの“処理”は施したように見える。ありがとう。

今作単体で見どころがなかったわけではない(ep.6やep.4を想起させる“構造”が心地よく)。挙げると結果として細かい箇所ばかりになるが、とにもかくにもカイロ・レン/アダム・ドライバーの描写/魅力に尽きる。ここだけは今作のみならず前々作から基本的にブレなかった評価点であろう。


観終えて、受け入れ難き部分も多かった前作『最後のジェダイ』の見方がかなり変わった。あり/なしという二元的な意見では収まらずうまく言語化できないのだが、今は『最後のジェダイ』が変に愛おしくもある。


ともあれシリーズは終わりだ(実質的には9作で終わりとアナウンスされた時から、いやep.7が公開された時に終わっていたのかもしれない)。
結果的にだがルーカスが送り出した3部作という箱庭、ひいてはep.4『新たなる希望』から一歩も飛び出すことができなかったのは今となっては残念だ。もうかなり前からだが時代に塗り込められてしまったのも仕方がないとはいえ同じく残念。


最後にもう一度。JJ、お疲れ様。
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