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アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たちのitomanのレビュー・感想・評価

4.6
邦題からムワッと香るクソ映画臭とは裏腹にとてもよい作品でした。時代設定は1899年。主人公(研修医)の訪れた精神病院は一見平和だが院長や看護士が何か変。おかしいな~と施設内を散策してると地下牢で衰弱した本物の院長たちを発見…という話。

精神病院で反乱が起き、自分を精神科医と思い込んでる患者が院長になりかわって病院を支配しているという状況なのですが、面白いのが見ている内にだんだん善悪がよくわからなくなる所ですね。

時代が19世紀なので精神医療のノウハウがまだ何も確立されておらず、「治すというより閉じ込めておく」が精神病院の意義で、治療も「殴れば治るかも」レベルというか、冷水ぶっかけたり高速回転する謎の機械に縛り付けてグルグル回したりをガチの治療法と真剣に信じてる医者ばかりなわけですが、反乱後にキチガイが医者ごっこで行う治療が「薬漬けにしない」「閉じ込めず開放的な場所で自主性を重んじた生活を」など、まぁ自分がやってほしいことやってるだけだと思うのですが、割と近代的なメソッドで、逆に当時の常識の方がキチガイじゃねーかとなってくる。

見てるうちに「本物の医者を開放して本当にいいのか?」と思えてくる。でも、偽医者もやっぱり狂人は狂人なので、こっちはこっちでこのままやらせておいていいのか?と不安だし、だんだん何が正解なのかわからなくなってくる映画。オチも好き。
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