片腕ファルコン

太陽の片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

太陽(2016年製作の映画)
2.8
僕の2009年の第1位『サイタマノラッパー』
僕の2012年の第1位『サイタマノラッパー3』
そう、僕は入江悠監督の大ファンさ。

このシリーズが認められ、ドラマと商業映画のオファーが増える事になる入江監督ですが…そこから彼の魅力が失速していったような気がします。。

そんな信頼が揺らぎ始めた所での新作『太陽』…出てるメンバーはメジャー級ですが内容は全くもって万人受けしない近未来設定。

人類がウィルスによって大勢死んで生き残った人類の一部が進化!
「ノクス」と呼ばれる新人類が誕生!
・健康的な肉体と高い知能
・太陽の光を浴びると死んでしまう

一方で進化できなかった旧人類を「キュリオ」と呼んで
・老化が早い
・日中も活動できる

と完全に二分化されちゃうという。しかも「ノクス」が旧人類「キュリオ」を支配して、「キュリオ」の神木くんや麦ちゃんは貧困生活を送るという設定です。

『リベリオン』『アップサイドダウン 重力の恋人』とかと同じと思って下さい。

上の2つと同じく映画のテーマは「人間らしさとは!?」という事だと思うんです。
「ノクス」と「キュリオ」どっちが幸せなのか、という。。確かにどっちにもメリット、デメリットがあるんですよねぇ~!

その2択の答えは最後まで出ず、見た人が判断するワケですが個人的には旧人類「キュリオ」の方が人間らしいと思いましたけども!!
そんな深いテーマではあるものの…原作が舞台の映画化ともあって意図的なのか妙に皆さんの演技が大袈裟に感じたのが凄く違和感ありました!! 最近褒めまくっていた神木君でさえ、オーバーリアクションに戸惑いを隠せません。。
ムラジュンさんだけは相変わらずOK!!

舞台ならそれでいいのかもしれないですがスクリーンでやる以上それは必要ないはず、感情移入ができず心から映画を楽しむ事ができませんでした。。

そしてかなりアレクセイ・ゲルマン監督の作風が意識されていると思います!入江監督『神々のたそがれ』とか絶対見てるはず。
やたらと引きの画が多く、1つの画面で 遠くで喧嘩、手前で傍観してる人、さらに手前を横切る人、、とやたら情報を入れてきます。
さらに『サイタマノラッパー』で培った長回しのテクニックをふんだんに駆使してまさに日本人離れの映像を見せてくれました。
ここは素直に凄いと思います!!ひょっとしたらとんでもない邦画が誕生した瞬間だったかもしれません。

ただ、やっぱり演出面と脚本のメリハリがもっとあればなぁ…という残念な思いでいっぱいです。ただ、まだ入江監督の可能性を感じたので信じたい。。

ちなみにSF向きの監督ではないと思います!

とは言っても、独創的な世界観にハマる人はドハマリしそうな予感。。とりあえず見てほしいですー。