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黄金のアデーレ 名画の帰還のcoroのレビュー・感想・評価

3.5
戦火を生き延びアメリカに亡命したユダヤ人女性が、ナチスに略奪されたクリムトの名画を取り戻そうと母国(オーストリア)を訴える。過去が現在に是正を求める瞬間を描いた奇跡のような実話。

裁判のため否応なく、再びその地に足を踏み入れた彼女の思いを代弁するかのように、時代をゆらゆらと交錯しながら映し出される景色。その傍らでいつも彼女たちを見守っていた一枚の絵が、呼び起こされる記憶と共に力を増していく。
やがて彼女の、忘れようとして忘れられない記憶の詰まった絵を取り戻したいという気持ちと歴史が、行動を共にする弁護士に乗り移っていく。

彼女たちだけでなく、こうして何十年経とうと逃れられないナチスの亡霊に苦しんでいる人々の思いや、過去の罪を償おうとする人々の気持ちがこの物語(実話)を可能なものにしている。
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