ノラネコの呑んで観るシネマ

完全なるチェックメイトのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

完全なるチェックメイト(2014年製作の映画)
4.2
伝説的チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの伝記。
前半は天才少年が破竹の勢いで勝ち進み、世界の注目を浴びるまで。
後半は最大のライバルだったソ連の世界チャンピオン、スパスキーとのタイトル戦が中心となる。
重要な背景となるのは米ソ冷戦の時代感。
ある意味人間の能力を超えた極限の世界を行く天才たちは、どんどん強くなるのと反比例するかのようにメンタルが崩壊してゆく。
奈落の淵に立つ人間たちの、落ちるか落ちないかの心理劇としての危なっかしさが、実はチェスの試合よりスリリング。
チェスは真実を追求するゲーム。
ならばフィッシャーは、盤上の戦いにどんな真実を見出したのだろう。
エドワード・ズウィックらしい、骨太の良作。
当然ながら、チェスの基本ルールを知らないと、かなり面白さがスポイルされる。