桃子

ピクニックの桃子のレビュー・感想・評価

ピクニック(1936年製作の映画)
4.6
「美しい映画」

ある晴れた日曜日。お父さんとお母さん、その娘、娘の婚約者、夫婦どちらかの母親、この5人が隣家の牛乳屋さんから借りた馬車でパリ郊外にピクニックに行く。時代設定は1860年、映画が作られたのは1936年である。
この映画が完成にこぎつけたいきさつは公式サイトに載っているので、ここでは割愛する。興味のある人は是非読んで欲しい。奇跡の映画と言えるので。
私が興味を持ったのは、ルノワール監督もさることながら、その制作スタッフたちだった。有名な写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンや、ジャック・ベッケル、ルキノ・ヴィスコンティらが撮影助手をしているのである。ヴィスコンティはココ・シャネルの紹介でルノワール監督と出会ったそうだ。シャネルさん、グッジョブ!ブレッソンはこの映画のスチール撮影もしているという。
私が好きなシーンは、アンリエットがブランコに乗っているところである。この可愛らしいヒロインを演じているのがシルヴィア・バタイユ。当時ジョルジュ・バタイユの奥さんだった(バタイユの小説を読みたくなって「眼球譚」をキンドルにDLした。これから読むのが楽しみである)。アンリエットと母親が木陰に座っている情景は、まさにルノワールの絵画を見るようだ。モノクロだけれど、ほんとうに美しい。40分という短い映像の中に凝縮された美。何度も見たくなる映画である。
とある映画評論家が以下のコメントをしていた。
「もし美しい映画があるとしたら、何よりもまず、この映画だ」
私はまだここまで言い切れるような映画ファンではないが、是非ご覧になってみてください、とは言える。
桃子

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