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悪夢探偵2のワシのネタバレレビュー・内容・結末

悪夢探偵2(2008年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

【前書き】
気の向くままにJホラー作品を観ていく。
今回は2008年の『悪夢探偵2』。
前作『悪夢探偵』の続編である本作も、塚本晋也監督自身の小説の映画化作品。

【雑感】
他者の夢の中へ侵入出来る特殊能力を持ち、悪夢探偵と異名を取る影沼京一が主人公。
今回の続編では、彼の少年時代…特に母親との関わりにスポットが当てられている。

彼の母親は世界の全てを怖がり、やがて息子である京一に対しても恐怖感を抱き、その挙げ句彼を殺そうとした末に自死してしまった。
最近そんな母親の夢を見続けてる京一のもとに、悪夢に悩む女子高生・間城雪絵が助けを求めて訪れる。
気乗りしない京一だったが、彼女の悪夢に登場する菊川という少女が、母親と似た症状だと感じたことから、雪絵の悪夢に関わっていくことになる。

前作はバケモノ的なものが登場し、肉を切り裂き血が飛び散る内容だったが、本作は心理や心霊にまつわる物語なので、いわゆるJホラーらしい作品と言えるかも。
ワシはまだ塚本監督の“作風”とか“らしさ”みたいなものが掴めてないので、申し訳ないが他の監督に例えると、どこか黒沢清監督作に似た雰囲気を感じることが多かった。

恐怖の盛り上げ方というか、登場人物の追い詰め方みたいなものは、一見するとJホラー作品でよくやる感じ。
しかしながらJホラー畑の監督たちの作品とは、少々“間”や“タイミング”が違ってて、そういう部分はやはり塚本監督ならではの部分なのかな?

特殊な能力を持つ者たちの苦悩を通して、この世界がどれだけ恐怖に満ちているのかが描かれていく。
そうした描写により、作品を観てるワシも、彼ら彼女らと同じ世界を生きていることに気付かされる。
感じ取る能力が無いという違いはあれど、人間社会で生きるということは、冷淡で理不尽な恐怖の中で生きるということなんだ。

わかってしまえば当たり前な事だけど、それまでそんなことに考えたこと無かった。
この世の中に当たり前に存在する恐怖への気付きから、他の作品では味わったことのないズ~ンと重みのある怖さを感じた。

事件は丸く収まったとも取れるし、バッドエンドにも見える。
それをどう受け止めるかは、それぞれに任せるって感じなんだろね。

ようやく母のことを理解出来たのに、今となってはどうにも出来ない。
そんな悲しいラストシーンは、とっても心に残った。

ワシの好きなタイプの話じゃなかったので、面白くは思えなかった。
しかし見ごたえはあったし、不満がある訳でもない。
なんだか不思議な印象を残す作品だった。
今回はこんな感じでした。

【後書き】
特撮でグイグイ押してくタイプの作品じゃないけど、印象に残る映像が多かった。
『リング』の貞子登場のシーンの進化形のようなシーンは迫力あったし、ジョーダン・ピール監督作『ゲット・アウト』の元ネタか?と思わせるシーンも。
特に印象的だったのは、雪絵の夢に京一がヌルッと登場するシーン。
思わず「そこからかよ!」って言ってしまった笑

そして菊川が書いた悪夢の絵が、映画の小道具に留めるには惜しいほどの異様な出来。
まるでひとつのアート作品やわ。

【余談】
画面揺れまくりで、めまいがしそう苦笑
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