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怪物はささやくのnodriguezのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
4.2
治療困難な癌に苦しむ母親とふたりきりで暮らすコナーは、友人もおらず学校でもいじめられてばかりの少年。ある真夜中、コナーはイチイの大木の怪物の訪問を受け、「これからお前に3つの物語を聞かせよう。その代わり、お前の真実を話せ」と言われます。現実と空想の間で、怪物と孤独な少年による駆け引きが始まるのでした。
病気の母親を持つ少年の、心の奥深くに潜む真の想いを怪物があぶり出すという、切ないダークファンタジー作品です。
真相にたどり着くまでに若干の遠回しな部分はあるものの、「何(誰)が悪で、何(誰)が善なのか」や「矛盾する二面性」など、人間のあやふやな善悪観念や心理の複雑性を非常に繊細に表しており、観賞後、時間が経つにつれてじわじわと考えさせられます。終盤で吐露するコナーの心理には、共感を覚える人が続出したのではないでしょうか。
そして、何よりも怪物が語る物語が、流れる水彩画のようになめらかなタッチで、幻想的且つ美しく残酷なストーリーなので、ぐっと魅了されてしまいます。
また、リーアム・ニーソンが声を務めた怪物は、恐ろしくもあり、どこか愛情を感じさせるような、素晴らしい演技でした。
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