こたつむり

キカのこたつむりのレビュー・感想・評価

キカ(1993年製作の映画)
4.1
スペイン発のB級カルト映画…。
という事前情報で鑑賞したのですけれども。

お洒落映画で、コメディで、いや実は恋愛映画で、いやいや犯罪映画で、もしかしたらミステリで、ある意味ファンタジーの結果、スペインの情熱に身を浸す映画ということでよろしいか。ペレストロイカ。

「彼は何を言っているのかね」と。
「遂に毒素が脳に回ったのではないか」と。
思われても仕方がないほどに。捉えようにも捉えきれない…そんな作品でありました。

しかしながら。
個性的で病的で魅力的な登場人物たち。
スペイン語特有の巻き舌で迫る台詞。
モラルという壁を容易く越える展開。

気付けば。
白濁の液体が空を飛び、好奇心を追求する大衆の願望が頭蓋骨と一体になって、男女の性差なんて歴史から見たらミリ単位の出来事だと言いたくなるほどの存在と、動き出したら止まらない、ロマンティックも止まらない、うっはっ。うっはっ。うっ。

…スミマセン。
「彼は遂に壊れたのかね」と。
「そろそろ埋める場所を決める頃合だ」と。
言われても当然の如く、何を書いているのか自分でも解らなくなりました。

しかしながら。
本作の魅力を書こうとすれば、如何に文章の中に飛び道具を仕込めるか…という形を選ばざるを得ないのは悠久の真理であり、不変の定理であり、東から陽が昇っては西に沈む日々を繰り返すように、人間が太古から足の爪を切るが如く、避けられない出来事なのです。何故ならば、破壊も求愛も二酸化炭素を吐きながら行う営みなのですからね。と、意味不明の駄文で失礼の極みゆえに、遺憾の意を表明しておきます。てへぺろ。

まあ、そんなわけで。
とても犯罪的で暴力的で変態的な作品です。
正直なところ、本作を絶賛したら後ろ指を差されないか、と身が縮む思いなのですが、それと同時に本作を真正面から受け入れている自分にも驚きでして、この素晴らしい驚愕の体験を伝えたい気持ちの方が勝るのです。

だから、他人様に容易くお薦めできる作品ではないことを承知の上で申し上げます。ハマれば見事なまでに楽しめる唯一無二の作品ですので、自分の限界を試すように鑑賞してみるのも面白いと思いますよ。そして、そんな倒錯的な作品を作ったのはペドロ・アルモドバル監督。要チェックですね。
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