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リリーのすべてのすーのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.0
世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人リリー・エルベの実話を基にしたお話。(原題のthe Danish girlのdanishはデンマークのという意味ですね)

風景画家のアイナー(エディ・レッドメイン)が肖像画家の妻ゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に女性モデルの代役を頼まれてから、リリーという自分のなかの女性としての人格を強く意識するようになってしまい、最終的に手術を受ける。

そういう話という認識だけで観に行きました。(普段からあまり内容を深く調べないで観に行きます)

正直エディが観たいという気持ちが第一で観たのですが、アリシアの演技も手放しに素晴らしかった。
最初から最後まで隙がなかった。私は声が特に印象に残っていて、声だけで喜怒哀楽がわかるし、声の出しかたも上手いと思いました。
あとはアイナーとのじゃれあいでは妻として、女としての可愛らしい動きをしていたけど、最後のほうのリリーと接するときにはまるで親友、あるいは母のような姿を見せていた。その変化がまた上手でした。

エディも文句なしに上手かった。今年のオスカーを取っていてもおかしくなかったんじゃないかなと思うほど。
男性から女性へと意識が変わっていく姿が違和感がない。どれだけ女性の仕草を学んだのだろう。口元や目の表情が大人の女性そのもので逆に見習いたくなりました。

それから個人的に嬉しかったのはベン・ウィショー。出演していると知らなかったので驚きました。

作品自体についての感想(さらっと)
ゲルダとアイナーの幼馴染みのハンツ(マティアス・スーナールツ)の二人が、アイナーが描いた風景を見て回る姿に心が穏やかになりました。
それから観終わって、振り返っているうちに泣きそうな気分になる。切ない、でもあたたかい。ゲルダとアイナー、そしてリリーの愛の形に友情や家族といった名前はつけられないけれど、これは確かに愛だったと。

映画館でも家でもいい。もう一度この映画を観て、さらに深く向き合いたいです。
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