ロビン

TAKING CHANCE/戦場のおくりびとのロビンのレビュー・感想・評価

3.9
イラクで亡くなったある一等兵が家族の元に辿り着くまで、その見送り・護衛をケビンベーコン扮するマイケル中佐が行う。
アメリカの戦没者への儀式を追った実話に基づくドキュメンタリーのような作品。
戦死者があれだけの尊厳をもって扱われるとは、軍や政府関係者だけでなく、国民の全てが戦死者に敬意を払う姿が印象深い。
とにかく、ずーと目頭が熱くなる素晴らしい作品だった。
アメリカという国及び国民に対する見方がちょっと変わった。
それとちょっとだけ、映画「おくりびと」が頭を過る。

戦争に行って戦場で死に、遺体で帰り
葬儀の際弔意を表すために弔銃を発射するという流れを映画等で目にすることは多いが、この流れを詳しく知ることができた。

戦死者に対する軍の儀礼は勿論、民間人の敬意の示し方がたまらなく素晴らしい。
特に、輸送中の民間機の機長が元空軍パイロットで、着陸時に英霊を運ぶ栄誉を得た事と、その護衛の軍人を先に降ろしますと放送を入れるシーンや、彼が戦死者の名前を聞き「俺は輸送した戦死者の名前は決して忘れない」というシーンに涙が止まらない。。
葬儀屋の霊柩車がゆっくり走るのを最初は追い越していく車が、車に積込まれた星条旗で包まれた棺を確認したら、ライトを着けて前に数台、後ろにも数台と追走するシーンもとてと感動的なシーン。

ケビン・ベーコンが粛々と戦死者を護衛する姿が毅然としていて、ゆっくり行う敬礼が戦死者への最大の敬意だと感じる。
こんな任務を初めて知ったけれど、とても立派な任務だなと感じた。

しかしながら、無事に祖国に戻ってもPTSD等に苛まれてまともに社会復帰できない者が多くいることも忘れてはならない。
そして改めて戦争の無意味さを痛感させられる。。

でも祖国に戻り故郷に帰れる戦死者はまだ良い、帰れない戦死者も大勢いるのだから。
ロビン

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