アァーーーーーー

軽蔑のアァーーーーーーのレビュー・感想・評価

軽蔑(1963年製作の映画)
4.4
"気狂いピエロ"より全然面白かった。

この作品は今まで見たゴダールの中で一番分かりやすい映画だった気がする。
それはゴダール特有の意味不明なカットの差し込みや、音のブツ切りなどにも意味や理由が感じ取れる点が大きいからだと思う。
また印象的な部分には素直に音楽を乗せている(と、言っても一筋縄ではいかない)のも分かりやすくあった。
映画全体の視点も独特で、
「映画を作っている過程を映画として撮る」という主題ながら、本来恥部と思われるカメラの動きや撮影現場をまざまざと見せ付ける事での回答と映画概念の破壊をしている様にも見えるし、巨匠フリッツラングが本人役で監督として役をこなしたり、恋愛ものとして主人公の脚本家と女優の奥さんの、別れる、別れない、が作中の本編であるし、常にアメリカ人映画プロデューサーとフランス人脚本家の間でセリフ毎に通訳がされているのもハリウッド映画に対する皮肉や批判にも見えてくる。

わざとかどうか、フィルムの質が明らかに違う箇所が2箇所ほどあって、それがアナログからデジタルに変換した際のノイズか再現度の問題か、フィルム自体の損傷か、はたまた自分の家で見ている環境のせいかがスゲー気になった。

後からこの映画を作った時の環境や状況を知って上記で感じた感覚を納得した次第。
年代的に気狂いピエロよりも前に撮られた映画との事で、その点も興味深い作品。

共演女性にすぐに手を出す印象だからか、当時セックスシンボルとして絶大な人気だったらしいブリジットバルドーにゴダールが手を出さなかった話が面白い笑。
俺もブリジットバルドーよりかゴダールと結婚した数々の女優の方が魅力的に感じます。


追記:
皆さんの評を読んでいると、女性はバルドー演じるカミーユが何故軽蔑する様になったのか分かる人ばかりで、男性は主人公のどうしようもない気持ちが分かるというのがほとんどで、俺個人はカミーユがなんで徐々に心離れていったのか全く理解できなかったので、女性の心理と男性の心理の両極端を描いているのも独特な視点なのかと。
アァーーーーーー

アァーーーーーー