エクストリームマン

ゴーストバスターズのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ゴーストバスターズ(2016年製作の映画)
3.8
Never compare me to the mayor in Jaws! Never!

個人的にはゴーストバスターズのリブートというより、ポール・フェイグ×クリステン・ウィグの新作である本作。最近どちらかというと真面目な映画のクリステン・ウィグしか観ていなかったので(『ズーランダー2』は未見)、久しぶりにコメディで彼女を観たような気がする。

基本的にエンタメ全開でストレートな脚本だけど、同時に旧シリーズでやっていたようなことを女性がやるとどうなるのか、どう見られるのかを浮き彫りにする社会実験的側面(図らずも、本作自体がアメリカにおいて大変な中傷に晒されることで、劇中の展開を裏付けてしまった)も多少ある。クリス・ヘムズワースの起用された役も、そこに含まれているだろう。また、旧シリーズよりも明確に主人公達の敵=ライバルが設定されていて、それもきちんと裏表の関係になっているという生真面目さというか王道感。

クリステン・ウィグ演じる主人公:エリン・ギルバートは、彼女の十八番キャラの生真面目で不器用なキャラクター、相方のアビー・イェーツを演じるメリッサ・マッカーシーもいつも通りの喧嘩っ早くて口の回るキャラクターで安定感あるコンビネーションだけど、そこに加わったジリアン・ホルツマン役のケイト・マッキノンが最凶で、素晴らしいケミストリーを起こしている。ステレオタイプと言って差し支えないような「ぶっ飛んだエンジニア」役であるケイト・マッキノンは、そのぶっ飛び具合の表現の多彩さ(時にはカッコよさ)で観る者を惹きつけてやまない魅力を放っていた。更にパティ・トーラン役の巨大なレスリー・ジョーンズが加わって、旧シリーズ以上の凸凹なゴーストバスターズが完成する。最後に、顔だけかっこ良くて普通以上に何もできない、常識はずれのバカな受付としてクリス・ヘムズワース演じるケヴィンが加わる。クリス・ヘムズワースのコメディ俳優としての資質を存分に引き出している最高の役であると同時に、性別が逆だとどうなるのかを最もクリティカルに問うている役でもあって、それを飄々と演じるクリス・ヘムズワースはさすがとしか言い様がない。エンドロールでの彼がとにかく素晴らしいので、次作以降がもしあるならあの企画?も続けて欲しい。

旧シリーズの魅力がプロットの上手さよりも「アイツらにまた会いたい」というキャラクターの魅力に依っていたように、本作でも4人+1人の弾けたキャラクターたちにまた会いたいと思わせてくれる魅力があった。

You know, an aquarium is a submarine for fish.