LaSalsa

THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッションのLaSalsaのレビュー・感想・評価

3.7
ジョン・トラボルタの心は晴れない。
ずーっと心の片隅に息子が死ぬという現実を抱えたま、 映画は始まりそして終わる。
とても辛い映画だ。心から笑っているシーンなどどこにもない。一見ハッピーエンドで終わっているように見えるが…、ラストのトラボルタの表情を見れば、ハッピーエンドとはとても言えない。

何をしている時も、トラボルタの心の片隅には息子の死があっただろうが…タヒチ旅行前までは、やらねばならないことで頭をいっぱいにできたでろう。しかしタヒチで、これから何をしたいかって話をしたとき。初めて、息子がまもなく死ぬという事実が心の全体を覆い、いたたまれなくなっただろう。悲痛な表情だ。あんなに夢に描いた希望のタヒチにやってきたというのになんたる皮肉なことか…。

もう長い命ではないからこそ、お母さんに会えて、元恋人とも会話できた。それは心温まるストーリーとも言えるが、、死ぬというカードのおかげでできた事。彼に会いたいからではなく彼が望むから会うのだ。それがまたなんとも虚しい。

ウィルのような立場は時として希望や期待を持つ方が逆に、大きな絶望をすることになりうる。だが、敢えてそれでも言いたい。生への強い気持ちを持って欲しいと。諦めてしまっているのだ。私もウィル側に立ったことがあるので、気持ちは分かるんだけどね。。
家族や周り含めてみな諦めてしまっている。死が規定事実で抗わない。

諦めるな、何かあるはずだ、と熱くなる人が1人でもいて欲しい。希望を持てば絶望時の落差が大きくなるが、救われる面も大きい。しかしこの映画は違う。抗わない。

終末医療に希望は要らない、ということだろう。希望がない。この映画全体を覆う晴れない暗さの原因なのであろう。
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