ユースケ

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

【スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望】のオープニングクロールに書かれていた銀河帝国から究極兵器デス・スターの設計図を強奪した独立愚連隊ローグ・ワンの活躍を映像化した一本。

多勢に無勢な戦況、次々に命を落としてゆく仲間たち、絶体絶命の危機に宇宙最強の男ドニー・イェンが立ち上がる。
凄まじい突きの連打=チェーンソー・パンチによってなぎ倒されるストームトルーパーの群れ、いとも簡単に強奪される設計図、そして、迎えるダース・ベイダーとの一騎打ち。熟練されたライトセイバーさばきとフォースグリップの猛攻の前に、杖に仕込まれたライトセイバーが遂に姿を現わす…

という展開はありませんでしたが、宇宙最強の男ドニー・イェンを心の師父と仰ぐ私には、上映開始からドニー・イェン師父の登場を待ち続けるという【スター・ウォーズ】を観に来ているのか、ドニー・イェン師父を観に来ているのかよくわからないテンションでの鑑賞になりました。

とにかく、クライマックスの惑星スカリフでの戦闘シーンが素晴らしい。
【地獄の黙示録】を思わせる南国の楽園をバックにAT-ACT(AT-ATの亜種)が暴れ回る地上での白兵戦も、スター・デストロイヤーにスター・デストロイヤーをぶち込む宇宙でのドッグファイトも、巨大なものが巨大に描けていて、さすが【GODZILLA ゴジラ】のギャレス・エドワーズ監督だと思いました。
反乱軍の兵士を蹴散らす無双のダース・ベイダーから【スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望】への繋ぎもお見事です。

更に、ドニー・イェン師父が登場するシーンは登場から退場まで全てがみどころ。
美味しいところは全て持っていく座頭市設定は本当にズルイ。最終的には敵の撃った弾が師父を避けていく始末。間違いなくどのジェダイよりも強いし、ドニー・イェン師父が3人いれば戦争は終結した事でしょう。

しかし、本作は手放しで絶賛できる作品ではありません。
惑星間を飛び回るキャラクター紹介から強奪作戦開始までの展開が鈍重で眠っちゃうほど退屈な上に、深刻なキャラクターの描き込み不足でキャラクターの名前すら記憶に残りません。そんな状態で取って付けたような戦死シーンを見せられても何も感じられませんよ。特に、マッツ・ミケルセンとフォレスト・ウィッテカーの無駄遣いは酷いの一言。生みの親と育ての親のエピソードをしっかり描いて欲しかったです。
オープニングクロールも、ワイプ演出による場面転換も、ジョン・ウィリアムズの音楽もないし、本作を鑑賞してから【スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望】を鑑賞するとダース・ベーダーとデス・スターの弱体化が気になるし、マイナス要素が非常に目立つ作品でした。

他にも、ジェダイの発祥の地だからジェダのネーミングは安直すぎるとか、ゴーグル野郎のタコ拷問は何だったのかとか、銀河帝国のセキュリティ・ドロイドとブラスターの組み合わせは無双すぎるとか、デス・スターはその後の作品のためにもハイパー・スペースにジャンプしちゃダメとか、いろいろ思うところはありますが、後半の盛り上がりが全てを吹っ飛ばしてくれるので良しとしましょう。

C-3POとR2-D2のコンビをはじめ、オルデランと共に宇宙の塵になる予定のレイア姫の養父ベイル・オーガナ、モス・アイズリー・カンティーナでオビワンに腕を切り落とされる予定のポンダ・パーパとドクター・エヴァザンのコンビ、お馴染みのブルー・ミルクなど、シリーズファンへの目配せも要チェックです。

ちなみに、1997年にプレーステーションで発売された【スター・ウォーズ ダークフォース】で描かれたカイル・カターンによるデス・スターの設計図強奪作戦は本作の登場によって黒歴史となってしまいましたとさ。

フォースと共に在らんことを!

追記
映画評論家の町山智浩先生の解説によれば、前半のつまらない部分はギャレス・エドワーズが撮ったもので、後半の盛り上がる部分はトニー・ギルロイが撮り直したものだそうです。前半も撮り直して下さい。