てるる

グランド・ジョーのてるるのレビュー・感想・評価

グランド・ジョー(2013年製作の映画)
3.3
思った以上に暴力的な映画だった。
オープニングのシーンからそれを暗示していた。

ストーリーは暗いし重い。
日雇い労働者たちをまとめるニコケイ。そこに現れたのは父親の代わりに家族を養うために熱心に働く少年タイ・シェリダンくん。
だんだんと親子のように距離を縮めていくが、悲劇は間近に迫っていた。
南部の田舎における労働者階級の貧困からくる厳しさや退廃感が胸にくる。

キャスティングも良くてニコケイの破滅的演技やタイ・シェリダンの自然な演技の上手さを感じさせる。
何よりも稀に見るクズな父親役のゲイリー・ポールターのやさぐれ感が凄まじい。それもそのはず、本物のホームレスをスカウトしたらしく、映画の撮影2ヶ月後にはホームレスに戻って溺死したのが発見されたとか。
「お前は俺の友達か?」
このセリフもそれを知った後だとなんだかやるせなくなる。
ちなみにこの映画、出て来る労働者達も俳優ではなくて実際の日雇い労働者たちだったり、ニコケイの理解者である警官役に至っては監督の近所に住んでる本物の警官を起用してるとか。
だからこそ出せるリアル感。

日本では本来はDVDスルーになる予定だったのが未体験ゾーンで公開。
だから公式HPも無けりゃパンフもないので情報が少なすぎる。
物凄く良い映画という訳ではないけど、なんか印象に残る作品だった。

それにしてもコレといい「ファーナス」といい、アメリカの田舎町怖い…
てるる

てるる