やっぱり見どころは、奥様のいじめで3回階段を上り下りさせられて針と糸とハサミを持ってくるところ。
自然光で撮影された歴史物なのにマイケル・マン『パブリック・エネミーズ』みたいにカメラが荒っぽくて動きまくる。前半は特に、ストーリーテリングという感覚ではなく、家や庭という場所を使い、役者を動かして遊ぶ感覚が先行しているが、こういう映画を久々に見た。
性急なズーミングの意味があまりよく分からない。ホン・サンスのように一種のカッティングとして使っているとしても、使い方はやや単調で役者の顔へのクローズアップが非常に多い。
自然光×コスチュームプレイという堅苦しい組み合わせに対して、揺れるカメラと性急なズーミング、おかしなほど近いカメラ、乱暴なパンなどが生ものとして作用して、映画の印象を変え、グズグズに崩しているように見える。ブラーが多いのはあまり好みではないが、、、古典的にかっちりと撮られるよりは面白いか。照明に妥協せず、狭い構図も作ることで、ただラフなだけでは終わっていない。
奥様に対する憎しみでレア・セドゥに感情移入できる前半に対し、後半はよくわからない。ハリウッド流の脚本ならもう一波乱ありそうなところで終演。