青いむーみん

サウスポーの青いむーみんのネタバレレビュー・内容・結末

サウスポー(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 アントワン・フークア最新作。非常に信頼できる監督だと思うのですが今作はどうも良くなかった。時期が半年ほど異なるボクシング映画ということでクリードと比較される映画だと思うが、動機付けの部分が大きく異る。今作は主人公ビリーホープが挑発に乗って喧嘩を勃発させた中での銃暴発事故で最愛の妻であり、司令塔であるモーリーンを突発的に失い、そこから立ち上がる話だがクリードは先天的なものであって苦悩の複雑さに深みを感じた。が、まぁそこは好みによると思うのでいい。ただいろいろ疑問が残った映画なのでどうしてもすっきりしない。
 パンチを受けずに戦ってというスタイルの変更をモーリーンにお願いされるが受け入れず身体を削っていっていたホープだったが、モーリーンが亡くなってから新トレーナーティックにも同じことを言われて遂にスタイルを変える決心をするのは良いんだけど、決心したあとはホントにブレずにこのスタイルを受け入れるという素直さにちょっと簡単すぎないかと思った。ミゲル戦で挑発に乗ってキレるんだけどボクシングのスタイルは維持してるし、元のスタイルへのこだわりはなかったの?と疑問が残る。
 モーリーンが撃たれたのは本当に事故なのかどうなのかよくわからない。現場でミゲルが銃をカチャカチャやってたようにも見えたけどごちゃごちゃしてよくわからなかった。警察は犯人を割り出そうとしていたが有耶無耶のまま終わっている。最後リングの上で「俺が殺した」とミゲルが言って、それに対してブチ切れることなく成長を見せてしっかりボクシングで勝つビリー・ホープを描くのかと思ったらそうでもなく本当に有耶無耶のまま終わった。
 ティックを最初訪ねた時に過去の試合で彼の教え子と戦ったことがあると言い、その時は金で勝ったと漏らしたが、それへの恨みをティックは一切持ってないのはいいの?その選手の人生かかってなかったの?最後、ミゲル戦でプロモータージョーダンがジャッジに囁いてニコニコしていたがあの時にやったように金で買収したのではないのか?それで負けてればあの時の断罪となるが、ホープは普通に勝ってしまった。買収が上手くいかなかったのか理由はなんだろう?いや、ホープが勝った方が儲かると12ラウンドまで闘ったところでジョーダンは乗り換えたのだろうか?
 いつものようにジェイク・ジレンホールの役作りは物凄いし、顔の腫れなどのメイクも良く出来ているのだが疑問が多く純粋に感動することは出来なかった。