キヨ

クーキーのキヨのレビュー・感想・評価

クーキー(2010年製作の映画)
3.6
<2015/9/5 新宿武蔵野館>
へなちょこテディベア、クーキーが自然を駆け巡るパペット冒険活劇。
手作り感のあるキャラクターたちがともかくかわいい。

ある男の子が持っていたぬいぐるみ、クーキー。ある日手違いからごみ捨て場に捨てられ、そこから男の子の元まで帰ろうと、ドタバタと冒険をしていく。冒頭の話は「トイ・ストーリー3と似てる」と感じたがそこからは全く真逆。あっちは最新の3DCGで描かれるおもちゃたちがたくさん出てくるが、こちらは手作り感満載の森の生き物たち。手作り感満載だからこそ、森の生々しさや出ていて、不思議な「ダーク感」も感じる。

映像の中で特に驚いたのは動物とのシーンや実写の車を追いかけるシーン。動物や車は普通に動いてる中、クーキーたちは普通に動いてる。パペットアニメーションで実写と合成することはあるけど、大体は風景や背景として使うことが多い中、こんな実写の物が動く中でこんな近くでパペットを動かしているのはすごい。さすがチェコ、といった感じなのか。

NHKとかの人形劇とかも見て思ったけれど、個人的にこういうパペットアニメーションは独特な「ミニマム感」を感じる。たくさんのCGで小さい者視点の映画は作られてるけど、やっぱり「世界に対してのミニマムさのリアリティ」はパペットアニメーションには勝てないきがする。森の中を進むカーチェイスのシーンなど、見たことないようなどこか懐かしいような不思議なミニマムさを感じて面白かった。

最後、語られるテーマも「トイ・ストーリー」がおもちゃ視点(誤解を恐れず言えば、現実ではない視点)だとすると、こちらはおもちゃで遊ぶ現実の子供の視点。おもちゃで遊ぶ、子供の想像力。そう考えると「トイストーリー」が「実写を使わない」CGアニメであることも、クーキーが「実写の中で描かれる」パペットアニメなのも必然なのかもしれない。映画の撮影方法自体がテーマを語っているなら、最後の唐突な流れも納得がいくようにも思える。

長ったらしく書きましたが、単純にかわいいぬいぐるみ、クーキーが冒険する様がゆる〜く描かれ、実写の中に溶け込んだ映像もとても独特な映像で楽しめる映画。クーキーがかわいいので自分はぬいぐるみも買いました(笑)
キヨ

キヨ