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最後の1本 ペニス博物館の珍コレクションのatsukiのレビュー・感想・評価

3.6
【突き詰めた成れの果ての明暗】

アイスランドに実在する世界唯一のペニス博物館を題材にしたドキュメンタリー。アイスランドのペニス博物館には、男性器の魅力にとり憑かれた館長が長年にわたって収集してきた様々な動物のペニスの標本が展示されている。しかし、ただひとつ、ヒトの標本だけが欠けていた。コレクションの完成を目指す館長の前に、自分のペニスを提供したいという2人の男性が現われ、同博物館に展示されるヒトの最初の1本を目指して熾烈な争いを繰り広げる。

ペニスに魅せられた男達。
ペニスのペニスによるペニスのための映画。正直笑ってしまう場面も多々あるのだが、彼らは至って真面目である。この映画ではペニスであるが、我々も「何か」を取り憑かれた様に求める事はあるだろう。その何かを手にする為ならば人生をもかけるのだ。その時人は狂気的にもなれるのだ。これって「市民ケーン」や「ゴッドファーザー」や近年では「ソーシャルネットワーク」の様な話に近いのではないだろうか?

「家畜も家族もいずれ死ぬ。だが勝ち得た名声は永遠なり」

今作は1人ではなく、ペニスに魅せられた3人の男達で対比される「突き詰めた成れの果て明暗」で彼らの違った生き様を見せられる。上の言葉は生に涯あれど名に涯はなしという言葉の通り、人の生き様というのは死んだ後も語り継がれていく。だから「市民ケーン」的ではあるけれど、「市民ケーン」ではない。なとも言えないペニスカタルシスを受けられる。

一本満足なのだ。
あの一本満足バーの歌には…

「誰かの犬じゃない
人生に満足してる
フツーに生きてりゃ小腹すく
名誉はいらないチョコをくれ」

ふざけて載せたつもりが中々深くて、これこそ「突き詰めた成れの果て明暗」で明と暗に分かれる違いなのかなと…

ペニスという言葉はfilmarksであまり使いたくなかったが、その分少しでも真面目に書けたかな?
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