たーぼーん

高麗葬のたーぼーんのレビュー・感想・評価

高麗葬(1963年製作の映画)
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観応えある作品だと思う。
悪意が連続し苦しいが、深刻な飢餓がもたらす事であり徐々に飢えそのものの迫力が物語を支配していく。
しかし終盤気がついてみると、古い慣習や迷信とか更に言うと保守的精神に対する嫌気が表現されたものだったのだと思えてくる。
僕は木下版も今村版の楢山節考も何となく避けていて観ていないのだが、同じ深沢七郎原作の市川崑「東北の神武たち」も似た雰囲気の作品だった。
映像が欠落しているのにその部分に字幕は入っていて、音声をもとに目隠し将棋の様な想像による観賞もそう苦しくはなかった。
あとは何と言ってもクレジットタイトルがヤバい。風景に白抜きの漢字が全面に並んで、そのうちの何文字かだけ残ってキャスト名が紹介されるとても奇妙なものだった。シネ・ヌーヴォのキム・ギヨン特集の最初の上映作品のオープニングでこれを見せて、初っ端からガーンと客にショックを浴びせよってなもんである。