このレビューはネタバレを含みます
レビューが出遅れた感がありますので、感想以外も少し含めて書きたいと思います。
あらすじは、女優になることを夢見るミアと、ジャズの店を持つことを夢見るセブ。度重なる偶然の出会いから始まった、夢を追いかけ、愛し合う2人の日々。
夢のようにカラフルな日々も、それぞれが実現に進んでいく度に、現実の壁にぶつかって色褪せていく。2人の愛は、2人の夢は叶うのか…というようなお話。
本作が始まった時、現代なのにどこか懐かしさを感じました。それは、今時フィルム撮りだったり、カラー映画初期に見られた、極端に色鮮やかな配色によるものですが、それは、往年のハリウッド・ミュージカル映画へのオマージュですよね。
展開や演出においても、往年のハリウッド・ミュージカル映画への想いが溢れており、近年ヒットしてないハリウッド・ミュージカル映画の復活を目指した熱い作品であることに、胸を打たれました。
それを、現代の観客が観て、だれもが楽しめる敷居の低さと窓口の広さを持って、最高に楽しく、最高にカラフルな夢に溢れた、最高のエンターテイメント作品に仕上げている素晴らしさ。娯楽の歓びに満ち溢れているじゃないですか♪
更に、最高に切ない作品でもありました。
俺は思いました。夢は、それ自体だけが叶えば良いの?本当に大切なこと、それが夢が叶うこと?叶った先の周囲の状況とか、環境とかは重要ではないのか…。いや、この自分の疑問自体が甘く、間違っていると考え直しました。
何を犠牲にしたって構わない、と信じられるほどの価値ある想いが夢でしょう。
だったら、何を差し置いても、それが叶うことを最優先するべきだ…ふたりとも、何も間違っちゃいない。だけど…涙。
『様子を見よう』あの後、2人とも同じように、全身全霊で夢に向かって努力したんだと思う。ただ、それだけを考えてね。
だから、全てを投げ打って、女優になる夢だけに全力で努力したミアは、素晴らしいし、がんばったねと心から讃えたい。
ただ、セブの傍らには、その最中にも、実際にはいないミアが寄り添い続けていたんだと思うと…たまらなく胸を締め付けられるんだよ…涙。
クライマックスで、セブがミアに向けてピアノを弾く時に流れる『もうひとつのあり得た2人のシーン』ってありましたよね。あれ、何だと思いましたか?
色んな解釈はあると思うけれど、俺は、『セブが気づいた、本当の自分の夢』だと理解しました。
それは、セブにとってジャズの店を持つことだけが夢だったのではなく、そこにミアが一緒にいてくれることが、1番大切なことだったと気づいたということなのではないかな、と思いました涙。
前評判の高さや予告編の素晴らしさから、とても劇場が混んでいましたが、また少し空いた頃に、あと何回かは観たいと思います。文句なし、大傑作です!