タコさんウィンナー

ラ・ラ・ランドのタコさんウィンナーのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.7
話題の夢追いミュージカルラブストーリー映画!予告のシーンほとんど最初とクライマックスじゃねえか!(笑)
とにかくすぐにラ・ラ・ランドの世界に連れ込んでくれる。そんな映画でした!

前作の「セッション」リバイバル上映からのハシゴで見たのですが、まず冒頭のミュージカルシーンの歌詞の一節「勇気か狂気か」が印象に残りました。「ラ・ラ・ランド」は「セッション」のような狂気に満ち溢れたダークサイドスポ根芸事極めモノではなく、比較的明るく前向きな話です。ですが、やっぱり根本は夢を追うことの厳しさ・喜び・狂気……そういったところに焦点があるな、と思いました。

セブとミアは恋に落ちてはいくが、どちらかといえば現状を変えるためのバディという意味合いが強いと思います。「とにかくラブだ!ラブが見たい!」みたいなテンションで行ってた人は、後半とかで不満を抱く人もいるかも。
もちろん私はむしろバディ寄りのほうが好物なので、ノリノリで鑑賞しました!

ミュージカルの苦手な私ですが、「ラ・ラ・ランド」は楽しかったです!ダンスや感情表現の動きとともに見せてくれるのが良かった!しかもドラマがしっかりしていて、ここぞというところに曲が入ってくるので、歌詞とメロディ、そして映像・音の双方が生み出すリズムに心を踊らされました!きっとラ・ラ・ランドでの日常は、すぐに歌って踊って感情表現する世界なんだ。そう、思わされました!

物語は後半に行くにつれて、夢とはなんなのか。夢をあきらめないことにもいろんな形があること。そして自分の力とはなんなのか。そういった多面的な問題が問われていきます。そしてその上で、どん底の中2人が出した答えとは……?
とある川に飛び込む系のシーン(ネタバレにならないようにこんな言い回しになっています)では、思わず涙が溢れそうになりました。

そしてラスト。たとえあの状態であっても、2人にはあんな時間を思わせるほどの力があったんだ、と思い知らされ、にやにやが止まりませんでした。(もう、ネタバレをさけるために意味不明な言い回しになっています。すいません……)

クライマックスはとにかく最高です。ミュージカルと映画の反転という見せ方も見事!

今回、「セッション」とハシゴをして、とあることに気づきました。まったく違う雰囲気の2作ですが、両方ともクライマックスを見ている時、にやにやが止まらなくなり、曲に合わせて足でリズムをとりはじめてしまったのです。(周りの席の方すいません……)
「セッション」では、そこは暗い闇かもしれないと思いながらも「あんなやつやっちまえアンドリュー!お前が主導権を握るんだ!」というカタルシスを生む意外な展開。「ラ・ラ・ランド」では見せ方次第では地味でつまらなく見えかねないラストを、ある手法を使って最大限のカタルシスをもたせて見せた圧巻のラスト。そしてセブの曲の力…!
さらに双方ともに、アガる意外なアイディアとカタルシスを盛り上げてくれる音楽がついてること…!
なんて強力なクライマックスでしょうか……!デイミアン・チャゼルの一番の見所は、毎度のこのクライマックス力だと思いました!


他にもエマ・ストーンの変顔やムカつき顔が最高!とか、「セッション」見た直後だとJ・K・シモンズにセブが逆らっているシーンで「ファッキンテンポ!」と怒鳴られないかヒヤヒヤする!とか、いろいろありますが、とにかくおもしろい映画です!しかも楽しいけど熱さや切なさもあって、勇気をもらえる作品になっています!
ミュージカル苦手でも観れると思います!音も画面も重要な映画なので、ぜひ劇場で見てみてはいかがでしょうか……!