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ラ・ラ・ランドのmomoのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

大好きなライアンとエマが恋人役でミュージカル映画をやると聞いて話題になるずっと前から楽しみにしていたララランド。

冒頭の高速道路で繰り広げられる華麗なミュージカルにもう開いた口がふさがらず…。思わず現実を忘れてこの世界に飛び込みたい!と思ってしまう夢と希望に満ち溢れた刺激的なオープニングに完全に心を奪われた。長回しの撮影なのにダンスも歌も皆の波長がぴったり合っていて観てる側も爽快な気分になれる。

歌とダンスが全てオリジナルというところに監督の音楽に対する熱い情熱が感じられるし、最大の魅力でもあるカラフルな衣装とセットが織り成す鮮やかさは本当に幻想的で美しかった。
クラシックな雰囲気を保ちつつ適度にモダンな要素も取り込んでいてどの年代の人でも楽しめそう。

ストーリーには目新しさはなく偶然出会ったセブとミアがお互いに夢を語り、応援し合い、支え合っていくという王道かつシンプルなスタイル。

でもちょっと引っ掛かるのがミアの言動で、腑に落ちない点がちらほらあった。もともといた彼氏(グレッグ?)との関係をちゃんと終わらせずにセブの方に行ったことと、セブはミアの電話がきっかけでバンドで稼ぎ始めたのにそれを「あきらめたの?」って問い詰めるのはセブがあまりに不憫なんじゃないかということ。そして肝心のラストに触れると「これからもずっと愛してる」って最初に言ったのはミアの方なのに、なぜか別の相手と結婚をして子供までいる。5年間連絡を取り合わなかったのはお互いの夢の尊重からなんだろうけど(でもちょっと設定に無理がある)、その間ミアは一度でもセブを思い出したのかどうかが率直な疑問。セブは5年間ミアの言葉を信じ続け、ミアが考えたSEB'Sのロゴマークをそのまま使ってこれがいつか目印になればと思ってずっとずっと待ってたのに。セブの気持ちを考えると本当に胸が苦しくて張り裂けそう。

セブはずっとミアが好きだった。だから二人が幸せになる"もしもの世界"を思い描いた。現実は変えられないから、せめて空想の中でミアとの人生を満喫したかった。それぐらいミアが好きだった。
(私が思うに、バーでキスするかしないかはセブの選択だからあれはセブの妄想。…なはず。)

二人の夢が叶ったからハッピーエンド。そういう見方をした方が後味すっきりで何のモヤモヤも残らない。でもそう思おうとすればするほど最後のセブの瞳が脳裏に浮かぶ。あれは「本当の幸せ」を掴みとった瞳じゃない。「夢を叶えた喜び」に満ちた瞳じゃない。

ミュージカル作品としては本当に確固たる秀作だと思うけれど、ライアンが好き、そしてセブという役が好きなあまりに切ないを通り越して苦しくなる。

とは言ってもそれぞれのミュージカルシーンに圧倒されたのは確かだしライアンのダンスと歌とピアノに惚れエマの表情豊かな演技に魅了されたのも事実。そして映画の演出、世界観もドンピシャなので、ストーリーがセブの思い描いた"もしもの世界"だったら5点満点なのになぁという感じ。
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