不二子

ラ・ラ・ランドの不二子のネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

映像美。アンハッピーなのかハッピーなのかはそれぞれの感じ方次第。テーマはsome one in the crowdが全て。


2回目の鑑賞。急に観たくなった。1回目の鑑賞は正直2.8ぐらいだった。恋愛でハッピーエンドを迎えると思って観てたからだと思う。

2回目の鑑賞では結論を知っており、恋愛でのハッピーエンドではなく、それぞれの夢、という観点から見ることが出来たので点数が高くなったのだろう。

2回目は落ち着いてみれたので、表現方法にも着目できた。

たくさんの騒音が鳴り響く街の中で、セブのピアノの音を聴いて惹き付けられるミア。パーティーを終えて帰る時、たくさんのプリウスの鍵の中からミアの鍵を見つけるセブ。私が好きな天文台で宙を舞うシーン。これもたくさんの輝く星=crowdがある中、なかでも一際輝く2人が舞っていると思うとロマンチックさが増す。運命の2人なんだろうなと。
だが、自分のジャズスタイルよりみんなに好かれるジャズを演奏することで人気者になったセブをライブでみようとするミアは、セブがcrowd=群集に紛れてしまって見えなくなってしまう。そこから2人はちょっとずつ、意見が合わなくなっていく。

最初はあんなに恋人なんて、気にしていなかったセブがミアに惹かれていくのはミアが単なるcrowdの1人ではなく、確かにミアという人だったから。crowdの中でピアノの演奏をした所でだれも気づいてはくれなかった、単にバックミュージックにしかならなかったセブの演奏をミアだけはたった一人、セブとセブの音として理解し、認めてくれた。

最後のシーン、ピアノを弾くセブにだけスポットライトがあたる。夢を叶えたセブはもう群衆の中の1人ではなくなっていた。確かにミアにとっては〝セブ〟として目に映る。だが、もう遅かった。切なすぎる。何度も運命の出会いを繰り返していたのに、最後は運命のイタズラのような出会いで終わってしまうのが憎い。

パーティーを終えて帰る時、セブは会場の目の前に車を停めてあるにも関わらず、君なんてタイプなんかじゃないって言いつつもミアの車まで送り、走り去るまで見つめるシーンはキュンとくる。あれ、されたい。

この映画でよく着目されるのが歌。この映画に出てくる歌は多くが韻を踏んでいる。ミュージカル映画には多いがうざいくらいに踏んでいる。だからこそ耳によく残るし耳障りがいい。少し昔の洋楽に多く見られる良さが活きている。

最後の10分程度の映像が2人の中での最幸な理想だったのだろうが、人生そう上手くも行かない。セブのあの愛する人をそっと見送る、切ないながらも安堵したような表情が忘れられない。
不二子

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