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LION ライオン 25年目のただいまのbutasuのレビュー・感想・評価

2.5
評判は高いようだが、自分には合わなかった。

まずこれはもとの映画のせいではないのだが、邦題が最低。この時点で「25年間会えないけど最後に再会できる」というストーリーがわかってしまうので、観ていて全くハラハラせず、なんなら冗長にすら感じてしまった。

前半のインドパートはとても良かった。主人公の少年はとても愛らしく、彼が路頭を彷徨ったり悪い大人に騙されそうになるシーンは本当に心が痛んだ。当時の時代背景、ましてやインドという特殊な国を考えると、彼が完全に家に帰れなくなってしまう状況はとてもリアル。こんなことが日常茶飯事で起こっていたのか…と考えるだけでゾッとした。

後半のオーストラリアパートになってからがイマイチ。ニコール・キッドマンの演技に頼りすぎで、脚本として全然家族の絆が描けていない。弟の描写は本当に中途半端。ルーニー・マーラは可愛かったけど、必要?主人公はずっとインドの家族のことで思い悩みその亡霊に取り憑かれてしまうのだが、何だかあまり具体的に行動しているようには見えず、切羽詰まったものを感じなかった。終着点がカルカッタだったことがわかっているなら「とりあえず一旦そこに行ってみよう」とはならないものかね。2年間も延々と地図を眺めては溜息をつくばかりで、まるで動こうともしない。結局どうやって見つけたのかといえば、何とグーグルアースをいじっていたらたまたま見つけただけ。なんとなく拡大した場所がまさかの地元、ってんなアホな。どんな偶然だ。大体、拡大したのは考えられる範囲を描いた円の外周部分なのだ。普通その辺りって真っ先に調べそうな場所では?「ガネストレイ」を記憶していたなら「ガネッシュタライ」には辿り着けそうなものだけど。実話らしいが、本当にこんな発見の仕方だったんだろうか。

ラストの再会シーン、感動よりも主人公の浮き具合が気になって集中できなかった。めっちゃ浮いてる。一応インド系の俳優を使っているはずなのに、明らかに一人だけ体格から顔つきから肌色から何もかも違いすぎる。オージービーフで育つと体もオージー仕様になるということかね。
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