タコさんウィンナー

LION ライオン 25年目のただいまのタコさんウィンナーのレビュー・感想・評価

3.3
ものすごい勢いで迷子になった少年がめぐりめぐって家族を探し出したという実話を基にした映画。感動するお話であり、これが実話だというのは驚きです。やはりラストでは泣きそうになりますし、養子を引き受けた夫婦の想いなどにも驚かされました。

でもなあ………。

正直映画としては微妙でした。予告編のほうがおもしろそうというか。
このお話、予告編で実話の大筋はわかります。それ自体は実話モノなら悪くないんですが、予告では「電車の時速に乗っていた時間をかけてその範囲で割り出すんだ!」とか「グーグルアースなら世界中探せるわ!」とか、いかにすごい探し方をするのかっていうところでワクワクさせてくれそうな雰囲気を出しているんですよね。でも実際の本編での中盤は主人公が家族と恋人との関係で悩みながらうだうだ悩むシーンばかり。もちろん上記のようなセリフも出てきますが、結局家族の見つけ方はひたすら過去をフラッシュバックしながら地図を眺め続けるだけでした。今作は話の大筋が分かっている時点で、映画の見どころは間のシーンでの見せ方やアイディアのおもしろさにかかってくるんじゃないかと個人的には思っていて…。そこを見たくて行ったんですね…。
「いや実話なんだからしょうがねえじゃん!!」と言われればその通りなんですが、正直間が眠かったです。映画的なおもしろさが少ないから「うーん…1時間くらいの再現VTR(テレビとかでよくやるやつ)でもよかったんじゃ…)」と思ってしまいました。

ただそれでも、画で細かい感情やフラッシュバックして思い出して行く様子を見せていたり、テーマ的に大切なことを伝えようとしていたりといいところもあります。社会的にも作られ見られるべき映画だとも思います。
ちゃんと最後のテロップには驚かされますし、流れ自体は感動的です。

でもだからこそもっと映画っぽくおもしろくしてほしかったなあと思います。そのほうがもっと感情も乗って感動も増したのに、と思ってしまいました。

私は実話ベースの映画が苦手なのかもしれません。「殿、利息でござる」などを見たときもとても退屈に感じました。
しかし、実話ベースでもフィクションすら凌駕して驚かせてくれるような映画もあります。「キャッチミー・イフ・ユー・キャン」や「フィリップ、君を愛してる!」など詐欺師映画系は特にその節が強いような気がして好みです。
さらにヒューマンドラマでも「最強のふたり」などはアイディアが冴えていてとても好きな映画です。
実話が元とはいえ、やはり映画にするなら映画的なおもしろさが欲しいなと、個人的には思いました。
(ただ上記にあげた好きな実話元の作品も、やはり「実話ブレーキ」で「普通の映画構成だったらここはもっとこういくでしょ!」みたいなところは案外なかったりします。やはり私が実話映画が苦手、もしくはまだ楽しみ方が分かってないだけかもしれないので、悪しからず……長文失礼いたしました。)