賽の河原

LION ライオン 25年目のただいまの賽の河原のレビュー・感想・評価

3.2
地球というデッカイスケールでの迷子のお話。
最初っから映画観てると「いつになったらオーストラリアに引き取られるんだよ」なんて思うくらいには割と鈍重で退屈。もっと言うと「いくらなんでもインド酷すぎひん?」とか「インド野蛮すぎてドン引きするんですけど...」って感じすらする。貧困やら人さらいとか意思疎通の出来ない群衆とか、すっげー怖いですよね。子どもの視点だから、あるいは昔のインドやしってエクスキューズがあるにせよなんかPC的にどうなんかね?って気がしないでもない。
でもまあエンドロールでユニセフ云々が出るようにこの映画、結構リベラルな社会派映画とも観ることができるんでまあこんなもんかなと言うのもある。
例えばエンドロールでのこの映画のタイトルの仕掛けにしたって、ここでブワッと泣く人もいるだろうけど、俺なんかは「いやいやお前、いくらガキとは言えどもそれが分からないっていうのはさあ」なんて突っ込みも入り得るんだけど序盤の描写みてもそういういわゆる近代ヨーロッパ的な「教育」が行き届いていない世界の過酷さっていうのかな。文明化の是非は置いておいてもそういうところを考えさせる力のある物語であり映画だよね。
あとはオーストラリアで引き取る夫婦のお話もさ、ともすればニコールキッドマンは「ヤバい人」にも映りかねないんだけど、そこは実際ニコールキッドマン自身のキャリアとかが役に影を落としているから絶妙な説得力になってるし、「家族」というものの問い直しや、「これだけ人種や文化が違っていてもここまでの関係がつくれるんだよ!俺たち人類、もっと相互に理解できるやろ!」っていう普遍的なパワーのあるお話として感じられるのでやっぱりグッと来ちゃう。
最終的なオチはそら想像できるんだけど、序盤に感じた鈍重さ、昨今の洒落た映画なら確実に時系列を入れ換えるところを、あえて編年体的に描写することで実際の観客も「映画序盤の故郷ってどんな感じだっけ」って思わせる効果があってそれはそれでは終盤の展開の説得力を増してる効果的な演出ですよね。
実話ベースで最後あんなんなったらそら泣きますわ。多分今年の映画で一番泣きましたわ。
「グーグルアースで探し出すロジックが意外と偶然ベースで萎える」っていうのは正直ありましたけど実話なんでなんも言えませんわ。
賽の河原

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