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マネー・ショート 華麗なる大逆転のhigashiのレビュー・感想・評価

3.8
金融の世界を、「体感」する映画。
「映画で観る」リアルな金融界。

みんな、話すの早すぎ。
難しい言葉、飛び交いすぎ。
編集、音楽、乱暴すぎ。
ついていけない。

頭、パンクするかと思った。
これが、金融の世界なのか。

主人公がドラム、ヘヴィメタにのめり込む理由、何となく分かるかもしれない。

こんな世界で、働ける気がしない。
しかし、この映画なぜかクセになる。


「華麗なる大逆転」というタイトルだけ見ると、オーシャンズ11っぽい。
でも、全くそんなことなくて。

描かれるのは、リーマンショックの裏側。
その経済界の大パニックを、いち早く予想した男たちが苦悩する人間ドラマです。


まず驚いたのは、編集の仕方。
とにかくカットの切り替わりが、早い早い。まるで、主人公たちの会話そのもの。

実際のニュース映像や写真、時には名言を使い、とてつもない情報量を見せつける。村上春樹の1Q84からも引用しちゃう。

ハッキリ言って、字幕を追うのに必死。
難しい経済用語が、いっぱい。
追いつかない。わからない。

途中で分かりやすい解説を入れてくれるのは、すごくありがたい。

でも元の物語に入ったら、また爆走。
一向に、追いつけない。

でも、なぜか面白い。
不思議。


役者たちも、全員熱量MAX。
早口、即決、頭キレキレ。

特に、不正を正すトレーダーを演じるスティーブ・カレルの熱量は、すさまじい。
怒れる男、そのものでした。


主人公たちがお金をだまし取って、やったー!みたいな映画とは、ほど遠いです。

鑑賞後、ずっしりと重いものが胸にくる。
主人公たちも、そうだったはず。

お金を手に入れても、誰も笑顔じゃない。
多くの人が失業し、家を追い出されてしまうという現実。

日本にいると実感はないですが、米ではとてつもないことが起こっていたんですね。

マイケル・ムーアのドキュメンタリーを
見終わった気分に近いです。

でも、マイケルムーアより乱暴な映画です。

アカデミー賞脚色賞、納得です。
編集賞もあげたいぐらい。

正直、DVDで見てたら疲れて途中で見るの止めちゃうかも。

劇場での鑑賞をオススメします。
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