Inagaquilala

二重生活のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

二重生活(2016年製作の映画)
4.0
監督の細部へのこだわりは尋常なものではない。たとえば最初の主人公の部屋のシーン。室内はもちろん、洗濯物や、ベランダに置かれた小さな亀の置物に至るまで、この映画を仕切る人物の、確固とした意図を感じる。それは作品全体にも漲っており、観る者は一瞬も気が抜けない。シンプルな尾行を題材にした物語だと考えていたら、それはミスアンダスタンディングだ。追う者がいつしか追われる者となる、安部公房の小説「燃えつきた地図」を読んだときのような心のうねりに、ふと気づいた。
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