哲学科の学生が論文を書くために無作為に選んだ他人を尾行する話。
役者と、作品全体の雰囲気、余白を残したラストが好き。
誰でも気が付く教授の伏線を敢えて最後に強調したのは、
結局どれだけ尾行したところで、他者の人生、情熱、意思の真実はわからないということかな。空虚が埋まる方法は自身の唯一を見つけること。
尾行することが空虚を埋める唯一の方法だと結論付け、また新たな対象者を見つけて心から嬉しそうに笑った門脇麦が教授の二の舞になってしまうのではないかと少し怖かった。
目を瞑っている時にしかみえない愛もあって、あれだけ近く背中合わせで過ごした人間同士も、あっという間に雑踏に紛れ、すぐにまた出会えそうでいて、でも、もう二度と出会えないようでもあって良かった。
尾行は唯一の方法ではないと思う、じゃあ何?と言われたら、わからない。それを探して人はみんな生きている、苦しんで。
リリーフランキーの伏線より、長谷川博己の性癖の方がもやもやした。