kirito

弁護人のkiritoのレビュー・感想・評価

弁護人(2013年製作の映画)
4.0
【卵で岩は割れるか?】

公開当時シネマカリテでやってて観たかった、1980年代に釜山で実際に起きた事件をもとに作成された法廷映画。

元々は土方の兄ちゃんで、高卒の弁護士という前半部分を忘れさせるかのような圧巻の後半。
ここまで前後で雰囲気を変えてくるとは思わなかった。

「1987、ある闘いの真実」もすごかったが、この当時はやはりアカ狩りということで刑事・軍による拷問と検察・裁判官による予定調和の裁判とが普通に行われていたらしい。

苦労して弁護士になった主人公が最初はお金儲けのために走っていてもそれは自分の努力の結果であり、そういう生き方もありだと思っていたけど、そこからガラリと人権派弁護士になれたのはやはり浪人時代の苦労を知っているからだと思う。
おそらく釜山大学とか有名な大学を出てる人はその肩書もあるし、なかなかこの弁護はできなかったのではなかろうか。

人権を守る、法律が意味を成していない社会での彼の尋問は圧巻だったし、法廷を自由に動き回るカメラの長回しの演技も素晴らしかった。

良い映画。

2020.5.27
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