rage30

優しい嘘のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

優しい嘘(2014年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

娘が自殺してしまった母と姉の話。

イジメ問題を扱った作品ではありますが、その当事者よりも、先立たれてしまった家族にスポットを当てているのが、本作の特徴でしょうか。
娘が自殺した理由を描きつつ、残された家族の再生が描かれます。

イジメに関して一番悪いのは、イジメを行った加害者である事は間違いありません。
しかし、そこから自殺にまで向かうには、それだけでなく、家族にSOSを気付いてもらえなかったり、中途半端な正義による裏切りがあったりと、複合的な原因が重なる事によって、自殺にまで至ってしまうのでしょう。

ただ、これを逆に考えると、仮にイジメられてたとしても、家族にケアしてもらったり、信頼出来る友人が1人でもいれば、自殺は回避出来たかもしれないわけで。
イジメ自体をなくす事も大切なのですが、学校以外のセーフティーネットを充実させる事も大切なんだろうな~と思わされました。

自殺の原因が複雑であるが故に、残された人間達への波紋も複雑に絡まっていきます。
中でも、姉であるマンジは親友に憎しみの目を向けるという、非常に辛い状況に置かれるわけですが、彼女はその憎しみを乗り越えます。
そして、妹がそうした様に、ある種の赦しをイジメ加害者にも与えていくんですね。
高潔としか言い様のない人間へと成長する、マンジには感動させられるものがありました。

イジメ問題を声高に提起する社会派映画でもなく、ミステリーとしてエンタメ的に消費するでもなく、ちょっと引いた視点から語る事で、イジメ問題をより俯瞰的な視座から考えさせてくれる作品かなと。
コメディーリリーフとして登場するユ・アインや、相変わらずの名優ぶりを見せつけるソン・ドンイルなど、ユーモアも感じさせる…決して重たいだけの作品ではないので、興味があれば気軽に見て欲しいなと思います。
rage30

rage30