魯肉飯

たかが世界の終わりの魯肉飯のネタバレレビュー・内容・結末

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

今年観た記録
狭い家の中で会話をするだけの室内劇のような感じだけど、微妙な視線や動きの変化が如実に伝わり、演技力の高さに脱帽
家族間の気まずさやいざこざがメインディッシュ
長い間互いを避け続け、あいてしまった深い溝を少しでもこれから埋めていこうとするも、空中分解して望んでいない方へと向かっていく様子が辛かった
どうしても自分の家族の過去のアレコレが脳裏にちらついて尚更心にきたな、感嘆しか出なかったけどよかった

特にアントワーヌが鬱憤というか蓄積された負の感情をコントロールできず、必要以上に激昂してしまっていたのが…
口論が激化すると、もう止められなくて言いたくないこと酷いことまで投げつけて、自暴自棄で自分も相手も傷つけて全部がメチャクチャになっていく
ルイが本当に伝えたかったことを中々言い出せなかったのもすごくわかるな
自分が呑み込んでそこで全てを閉ざしちゃう、もう終わりだって
本質的なところ、一番悩ましくて辛くて繊細な部分ってどうしても言えないよね
時間が許す限り一生どうでもいい話をしてたいし、問題がないなら一生曝け出したくない
全部内包する質のルイが劇作家になったのも頷けるな、創作は昇華だし
他愛無い会話をして、緊張がほぐれて、少しぎこちなくてもデザートまでには打ち明けたいっていう、淡い期待と覚悟が儚くも崩れ落ちていく
全員の感情がぶつかり合い、取り返しのつかないところまで行き切って、膨らんだものが一気に萎んでいく

デザートみたいにやわくてデリケートなところを隠して差し出さないのって、もう防衛機制で相手を気遣うっていうより保身になるのかな
ひとつの世界が終わりそうなときに、本当の思いは伝えられるんだろうか
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