まず音楽がいい。
ドラン監督らしいセンスが光る。
比喩表現のような歌詞が面白くてつい聴き入ってしまう。かかるタイミングもばっちり・・こだわりを感じる。
この家族の過去とか、詳しくは語られていないので、想像するしかない。想像力が乏しくよく分からない事もたくさんあった。(あとでレビューを漁ってみる)
血が繋がっている、家族である、何を考えているのか分からないけど、それでも愛している。愛していたい。そんな家族間の複雑に絡まる会話。
その間、女性の色鮮やかなアイシャドウ、くっきりした瞼やくりっとしたまつ毛に惹き込まれ、目のわずかな動きに注目させられる。
なにかしらの意図があるように
物語のほとんどは横顔だけがうつるように
光と影がはっきりと映されている。
邦画「よこがお」のように、人間の本性や本音が隠されているような描写なのか?
光の当たり具合がかなり計算されているような。
ラストではオレンジの日が射しこみ、それまで隠れていたものをさらけ出すように、顔がやっとまるまる映される。感情を露わにする家族。演出だとしたらすごい。
鳩時計の描写は、
本当の意味で家に帰ることができずに命がつきてしまう主人公?
・・・と、色々と想像していると
誰が何を考えているのかを考えるのに疲れてしまう映画でもあった。🙄
しかも誰にも感情移入はできない。
もし自分が主人公だったら、告白できただろうか。兄だったら、あんな態度で接してしまうんだろうか。兄嫁だったら、主人公の秘密を内緒にするんだろうか。妹だったら、どんな気持ちであの日を迎えるんだろうか。
家族って複雑だな・・・に尽きる。(結局)
1番好きなのは
風を感じる小屋のようなところで母親と話すシーン。
母親が美しい。それまでは、
何度も同じことを聞いたり肝心なことは聞いてなかったりいかにもちょっとうざい母親!みたいに映っていたのに、急に女性として見てしまった。