Inagaquilala

500ページの夢の束のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
3.6
自閉症の少女が、自作の「スター・トレック」の脚本を、サンフランシスコからロサンゼルスのハリウッドまで届けるというロードムービーだ。自閉症の少女を演じるのは、かつての天才子役ダコタ・ファニング。すっかり大人となったと言っても、まだ20代前半。まだ幼い頃の面影が残る彼女が、人とのコミュニケーションに問題を抱える主人公をしっかりと演じている。「500ページの夢の束」というのは、主人公が「スター・トレック」の脚本コンクールのために書いたシナリオ。郵送では締め切りに間に合わないので、バスの乗り方も知らない主人公が、途中、さまざまなトラブルに見舞われながら、ハリウッドの映画会社をめざす。

どんなラストになるのか、途中から興味はそこに集中したが、それほどのサプライズもなく、きちんと日常のなかで、決着をつけたのは、好感がもてた。惜しむらくは、主人公のヒロインが、どのようにして「スター・トレック」の脚本を書き上げたのか、そこをもう少し知りたいという考えに囚われた。まあ、ロードムービーの部分が肝の作品だと思うので、そこまでの要求は無理なのかもしれないが、やや残念な気もした。ロードムービーであれば、つまらぬ観光映画になる危険もあるのだが、ことさらそのあたりに注意して演出していたようにも思う。
Inagaquilala

Inagaquilala