イバ

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のイバのレビュー・感想・評価

3.8
「猿の惑星:聖戦記」

人間に創られたからこそ、人間に愛されたからこその苦悩が、前作に引き続きシーザーを苦しめる。そんな中でも、仲間とともに平和な生活を求めて森の中に逃げたシーザー達だったが、人間たちの襲撃により家族を奪われてしまう。
ついに憎しみに囚われたシーザーは、家族を殺した「大佐」と呼ばれる男を追い、人間たちの基地へと向かう。
エイプスと人間の戦いの結末、そしてシーザーの選択に胸打たれる…。


前2作からわかってたことだけど、シーザーの優しさというか情けというか、残酷になれない強さが今回もシーザーを苦しめていて、それを見てるのが辛い…
でも、だからこそエイプスはシーザーを信じるし、力になろうとするんだよな〜
シーザーの理性や優しさは弱みになるけれど、誰もが持ち得ない強さであるとエイプスは知っている。
人間もそれに気づくのに、「そんなはずはない」と信じることが出来ないから、愚かなことを繰り返す。
つくづく人間の弱さが身に染みる作品です。

この作品は、エイプスたちを演じる役者たちが人間でないものを完璧に演じ、それ自身になっているからこそ、例え言葉がなくとも瞳や、動きで感情が伝わってくる。本当に素晴らしかった。

アンディー・サーキスのシーザーはアカデミー賞ものだよこれは…シーザーの本来の猿の動き、感情の揺れを見せる瞳、エイプスたちのリーダーとしての強さと気高さ。人じゃないものを完璧に存在させている。素晴らしい演技でした。

人間を愛し、人間を憎み、それでも全人類を悪だと思うことが出来ないシーザーの葛藤。愛しい者たちを奪われても、それでも仲間との未来を想う姿は気高く、誰よりも美しい。

完結するのが悲しい。でも素晴らしい作品が観れて本当に良かった。
また観直そう。
イバ

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