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神のゆらぎのncccoのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.5
飛行機が落ちるのは、全能の神が存在しないからだ。

共に「エホバの証人」である看護婦と白血病のフィアンセ(ドラン)をメインに添え、複数のものがたりが過去と現在を行き来しながら終着点、墜落するキューバ行きの飛行機へ向かっていく群像劇。

それぞれの運命がキャラクターや背景含め丁寧に描かれながら「誰が生き残りなのか」という謎解き兼ねてラストに集約されていく物語のダイナミックさ、脚本の妙に惹きつけられる。「神のゆらぎ」という邦題も素晴らしい。

信仰、良心、それとも本能?
何を信じ、何に身を委ね生きるのか。ちょっとした判断、決断で運命が、人生が、大きく変わる。神は時に揺らぐように与え、時に奪っていく。そこに必然性なんて無いのだと。

白血病の恋人と生還した飛行機事故の被害者に思いを重ね、信仰より良心を選ぶヒロインの心のゆらぎを描ききり、深い余韻を残す良作です。
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