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ロブスターのjnkのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
5.0
期間内に恋人作れないと動物にされるなんて設定は馬鹿馬鹿しいけど、結婚もしてないのに子供もいないのに幸せはわからないとか未婚者を人間扱いしない無神経なアホは確実に存在する。
システムのせいで安全圏に回った途端に平気でそういうこと言う人は多いし、映画やフィクションの中でもそういう説教スタンスで作られたものは多く、美男美女が運命的に出会って仲良くなってどやこれが幸せやって見せられてもはいそうですかとしか言いようがない。

そこから逃げても更にハードなルールがある孤独コミュニティ、この映画は独り者に異常に厳しいレギュレーションの中できっちりと愛も描かれる。
そんなしょうもないことで恋愛関係になるんかってシーンはコミカルに描かれるけど、それは2人にとっては幸せなことなんだよって感動的なシーンにも見えて、脅迫的なまでに共感性を保とうとする姿は恐ろしくも見える。
結婚や子供が目的化してる人の恋愛とこの映画の馬鹿設定にほとんど違いはなくて、15段階で14愛してても次の瞬間には殺そうとしてるかもしれない。
それでも愛を知らない人は人間じゃないと言われるならロブスターになりたい。
そういう気持ちを肯定してくれる映画だと思った。

いろいろ考えさせられたり価値観変わる人もいるかもしれないけど、馬鹿映画として見ても普通に面白いしエンディングの解釈も広くて押し付けがましくないからどういう立場の人にもフェアな作品だと思う。
一瞬の愛が素晴らしいことも否定してなくて、ただ現実を見せてくる。
こういう映画が存在するだけで世界も人間も悪くないと思える。
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