せびたん

ロブスターのせびたんのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.0
シュールなディストピアものでした。おもしろかったです。
前半と後半で違うディストピアが出てくる感じ?
観終わったばかりなのでうまく書けないかもですが。

前半は、45日以内に交際相手を見つけないと動物に変えられる未来社会?並行世界?が出てきました。作品内の世界はそういう社会体制みたいです。
交際するにはお互いの気持ち以外に何か共通点が必要なんですが「よく鼻血が出る」とか「近視である」とか「ドイツ語が話せる」とか、そういうのでいいみたいでした。
交際し始めると、子供もどこかから連れてこられるみたいなんで、反体制コミュニティのリーダーの親も、もしかするとリーダーとは血が繋がってない可能性がありますね。

後半は、交際するととんでもない厳罰(体罰)を受ける反体制派のコミュニティに話の舞台が移りました。交際どころか誰かの助けを借りることさえ許されないっていう。背中の手が届かないところに軟膏塗ってもらうのもダメっていう。

それぞれの中心人物のトラウマ?心の歪んでる部分?が、それぞれの世界を象徴してた気がしました。

どっちも極端すぎですよね…

悪い夢を見てる気分になってくるけど、それがわりと悪くないっていう。引き込まれて観ちゃうっていう。そんな感じの映画でした。
結論が出ないまま終わるのも悪い夢と似てるような(私の悪夢はそういうのが多いんです。決断する場面で目が覚めたり。夢が終わったり)。

私自身は動物になることにあまり抵抗を感じないので、作品の内容を知らない間は能天気にも、「クジラかシャチがいいなあ」って思ってました。でもこの映画みたく社会に強制されて動物に変えられるのはイヤです(*`・ω・´)笑
こんな世界で生きてたら、かつて私がバツイチになったあの瞬間から45日後に、私は動物に変えられていたわけですし。笑
でも私は私でしかありえないので、動物になっても私らしく・楽しく暮しているかもしれないなって思いました(´∀`)←やっぱ能天気。笑

またどちらの社会も、映画やドラマや漫画でよくある恋愛観?理想の相手との運命的な出会いからの怒涛の展開からのカップル成立!みたいな流れへの皮肉にも取れるのがちょっとおもしろかったです。
「そんな展開ないわっ!もっと現実的になれ!」という考えを極端にすると前半の社会。ちょっとした共通点があったら結婚して子供作れや、意外と幸せになれることもあるんだからみたいな?

一方、「そんな展開私にはない。だからひとりで生きていかなきゃな!」という考えを極端にすると後半のコミュニティって感じではないかと。

そういう意味でこれを恋愛コーナーに分類したTSUTAYAはすごいなと思います。笑

あれやこれや考えながら書いてますが、最後に物語の結末について。
物語の結末で主人公が下した判断は、「別の共通点を見つける」ことだったんじゃないでしょうか。あのトイレで、何か別の共通点を思いついたんじゃないでしょうか?
なにしろ職業は建築家ですからね。その設定は幸せな家庭を築けたってことの暗示ではないかと思いますし、逃げるにしても逃げ場なんかないですし。男としてはもう、あそこで何か思いつくしかないのです(*´•ω•`*)…
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