とぅん

オーバー・フェンスのとぅんのネタバレレビュー・内容・結末

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

こういう何かやたらと刺さっちゃうの、邦画観てると時々出くわすんだよなぁ。
オダギリジョーも蒼井優も上手すぎるから、余計刺さるというか。

普通に生きてるつもりでも、自分で意識しないうちに周囲を壊してしまう男と、
明らかに情緒不安定なぶっ壊れてる女の物語。
私はダメな男を丁寧に描かれてしまうと、弱いのかもしれない。

冒頭から、周りに合わせるだけで距離を置いてる主人公が出てきて、しれっと手のアップで結婚指輪見せるとことか、引き込みがしっかりしてる。
それに、職業訓練学校の周りの学生との会話とか空気感が、何とも言えないナチュラルさで、何かいいなぁと思わせてくれる。

聡の登場はどこもヤバさが溢れてて、蒼井優の素晴らしい演技も相まって、本当に引き付けられる仕上がり。
彼女の自宅での言い合いや、居酒屋での若者達への静かなブチ切れあたりから、「ちゃんとしてる」と思われていた主人公の腹の内が見えてくるのは見事。

でも、それ以降、訓練校の皆んなと楽しく飲みに行ったりしてて、何か変わった?と思わせてくる。
実際、元妻が言葉にしてるシーンもあり、その辺の変化が上手いなと。

元妻と会って、めちゃくちゃ元気になってるのを感じて、自分のヤバさに向き合ってから、
聡の求愛の舞を見て、ソフトボールの試合でのホームランに繋がっていくのは美しい。

あれだけ荒ぶらせといて、聡のバックグラウンドを見せないところにモヤッとする気もするが、
主人公が自分の姿に気付いて乗り越えようとするストーリーだと考えると、これで良かったと個人的には思った。
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