Solaris8

この世界の片隅にのSolaris8のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.5
過去ログになるが、1/ 21 渋谷ユーロスペースで「この世界の片隅に」を観た。先日、親戚の結婚式で富山へ帰省し、高岡駅前の富山ブラック拉麺が美味しいお店で食事をとったが、この店には、主人公のすずさんが描かれた色紙が飾ってある。

お店の人に聴くと、作画監督の松原秀典さんが富山出身で、僅か20分位でサラサラと絵を書いたというが、この世界の片隅には、自分の知らない想いや願いが星の数だけ存在している。

映画の冒頭で広島の海辺に集まる白鷺が描かれ、キラキラ光る、さざ波が立つ海に、白ウサギの絵を書き足す場面が在って、心が和む。故郷の富山も田圃に餌が豊富で、大柄な鷺をよく見かける。鷺が舞う姿は平和そのもので、白ウサギも小学校で飼育されていたので、馴染み深い。日本は何処に行ってもそんなに大きく変わらないのが良い処だと思う。

映画のプログラムを購入したが、表紙は真っ白で「この世界の片隅に」とタイトルだけが書いてあったが無垢な白を連想させる映画だった。

呉の軍港の空襲や広島の原爆投下の様子には、心が痛む。自分の父は富山大空襲を新湊の海から観たと云うが、当時、空襲の炎で日本全土が焦土と化した。不思議なもので、無垢の白に炎の赤が日本の国旗である。

戦争に限った話では無いが、この映画は主題歌のように、悲しくてやりきれなくても健気に生きる大切さを教えてくれる。
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