Solaris8

秋のマラソンのSolaris8のレビュー・感想・評価

秋のマラソン(1979年製作の映画)
4.3
春分の日からの三連休に、東京に遠征して荒川河川敷の小さな練習会のハーフマラソンを走って、シネマヴェーラ渋谷で「秋のマラソン」と「モスクワは涙を信じない」を観た。

主人公は都会の翻訳家兼大学講師の仕事が出来るタイプの人で、多忙であっちこっち飛び回る人だが、こういうステレオタイプの人に限って、マラソンで短時間にストレスを発散する事が上手だと思う。映画のジャンルとしては悲喜劇のコメディ映画になるらしいが、不倫で自分への寛大さから「愛人」「妻」「仕事」が破局へ向かいながらも、友人と一緒に走るマラソン練習は状況に関係なく別腹で、マラソンが別腹なのは自分も同じなので、その事が可笑しかった。

自分も荒川河川敷のマラソン疲れで寝てしまい、自分の身勝手さも映画の主人公と大差はないが、寝起きして観た主人公のマラソン仲間の揉み上げが五輪金メダリストで旧東ドイツのチェルピンスキー選手にそっくりだった。 プロパガンダ的な匂いは全くしない映画で気楽に観れる映画だと思う。

「秋のマラソン」は最近観た「私のちいさなお葬式」のお婆ちゃん役で主役だったマリーナ・ネヨロヴァが主人公の愛人役で出演していて、若かりし頃はこんな人だったのかと思いながら、楽しく映画を観させて貰った。

今日、日本の喜劇王とも言える志村けんさんが新型肺炎で逝去された。三連休に気が緩み、東京遠征してしまったが、この映画に出会う事が出来た。志村さんの死を無駄にしない為にも新型肺炎対策は真摯に受け止めたい。
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