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この世界の片隅にのMKfilmsのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.4
MKは沖縄の離島生まれ育ちです。

当時、生きていたわけではないし戦争体験ももちろんありません。

とはいえ小学生の頃から学校で平和学習と言って、戦争(特に沖縄戦)の事は耳にタコが出来るくらい毎年毎年聞かされてきて、沖縄県の休日となっている慰霊の日が近くなると戦争についての作文も毎年書かされ、
離島なので小学校の修学旅行は沖縄本島で平和記念公園で平和学習、
中学校の修学旅行は九州の長崎で平和学習、
と子供の頃からずっと戦争の恐ろしさは散々聞かされて育って来ました。

ここまではまだ理解できるのですが。

今は基地問題等で地元新聞や地元TVのニュースが流れているのを毎日毎日聞かされています。
はっきり言って戦争(戦争は悪、基地は悪、米軍は悪、自衛隊は…)の事をしつこくしつこく聞かされて、反対派の過激な反対活動が行われている今の(沖縄の)現状に少々というかかなりうんざりしています。

平和記念公園や長崎での原爆の話を体験者の方々から聞いたのは衝撃的で、学校で読んだ「はだしのゲン」や「火垂るの墓」はもうトラウマもので、そりゃ心の中では戦争絶対反対ってもちろん思っているわけです。

何が言いたいかというと、

この映画の、

すずさんの日常を描いてその中にポンっと戦争の日々が描写されている。

それだけで、それがもう本当にリアルに感じられて、これまで聞いて来たどの平和学習よりも(実際の戦争体験者から聞いた体験談もやはり言葉だけだったから)。
すずさんやその周辺の人々の日常として、大きな軍港が近くにあって、地元の人達は、男性達は基地関連でそれぞれ必死に働いている、それを日本の女性達は影で必死に支えている。ただそんな日常。

戦争の怖さ、辛さ、悲しさ、痛さ、苦しさ、全部が、日常の中にポンっと。

これだけで充分でした。

今の延々と戦争の恐ろしさをニュースで流す沖縄の現状は正直しんどい。

しんどいことばかり聞かされていてもううんざりで、もう聞きたくないのです。

だからこそだったのか、この映画が、すずさんの日常が、ストンっと心の何かにハマった気がしました。
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