比較作品で挙げられる「火垂るの墓」同様、戦争で振り回される日本国民たちの話でした。
絵柄は優しいのですが、内容はリアル。
ヒロインのすずさんもおっとり温厚なのですが、そんな女性だからこそ、戦争に振り回され傷をつけられる様が哀しかった。
とてもじゃないけど目を覆いたくなるシーンもありました。
それでもこの作品に救いがあったように、また温かいものに感じるのは、すずさんっていうヒロインの存在が大きいです。
すずさんの周囲の人たちと一緒に、すずさんに癒され、すずさんのおっとりドジっぷりにくすっと笑わされるんです。
いつもすずさんのように、日常に小さな幸せや楽しみを見つけられたら、誰しもが心穏やかに豊かに生きていけるのかも。
自分もそうだけど、
ちょっとしたことですぐ後ろ向きに捉えてもうダメだーって立ち止まったり、
上を見すぎて背伸びし過ぎて辛くなって、身近にあるほんのちょっとした幸せや人の思いを忘れがちな現代人。
こういった現代社会に疲れてる人たちに観て欲しい作品でした。
戦争もの、というよりも、
戦争を生き抜いた人たちの強さに着目して鑑賞しました。
ちなみに、
リンさんファンとしては、あの話が無かったことが一瞬気になりましたが、
それも盛り込んでいてはこの映画の軸がズレてしまっていたかもしれないので、
映画版「この世界の片隅に」はこれで完成されているなと思いました。
しかし続編でリンさんとの話があるそうで!
とても楽しみです。